あるひまじんの日記

今日も世はこともなし。

本 in幽霊派遣会社

幽霊派遣会社幽霊派遣会社
(2006/06)
エヴァ イボットソン

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タイトルからして楽しそうな本ですが…内容も楽しくて面白くて一気に読んでしまいました。

この本はある一家が幽霊になってしまった日から始まります。普通ならそういった幽霊や死をテーマとした本というのは総じて暗くなりがちですが、これはまったくそういう気配はなくてむしろ幽霊になっても変わることなく暮らしていこうという幽霊たちが出てきます。

「エクトプラズムも人間の筋肉と同様に鍛えることができると思うんだ」…などなど、幽霊だからって努力せずただふわふわ浮いているだけではいけない、という姿まで描かれていてこれも面白い要素です。

著者のエヴァ・イボットソンは他にもいくつかの幽霊をテーマとした面白い本を執筆しているとのことですが、物語の中では「幽霊が見える人」と「見えない人」と二種類の人間が出てきます。見える人は優しくて純粋な心を持っている人、見えない人は残酷で冷たい心を持つ人…というように大別されているようです。

これはつまり、幽霊の存在を信じている人は見ることができ、信じていない人は見えないという一般的な公式に当てはまるような気もして、子供向けの本でありながらも結構深いところまで考えられた物語なんだなぁと思いました。

ある日突然幽霊になってしまったウィルキンソン一家。歯医者で一家の主ヘンリー、子供思いで優しくて気立ての良い妻モード夫人、ある少女を愛したまま死んでしまった息子のエリック、傘を武器代わりに振り回す元気のいいおばあちゃん、そして一家が幽霊になった後に倒れているのを発見された寝巻きの少女アスカルことアディ。

一方、孤児だったオリヴァーという少年はなんとヘルトン館という13個も部屋がある巨大な城を主たちの不運のお陰で何百万ポンドもの資産と共に受け継いでしまいます。それを聞いたオリヴァーのいとこでありオリヴァーさえ居なくなれば自分が館を相続できると企むフルトンとフリーダ兄妹。二人はショックがあると喘息の発作を起こして死の危険があるというオリヴァーをあの手この手で脅かして発狂させて殺してしまおうと画策し、幽霊たちを派遣するという会社を見つけてさっそく依頼をしに行きます。

ラヂオの時間」「有頂天ホテル」の三谷幸喜映画のように、なんだかドタバタでメチャクチャだったのが最後には色々なところから助け舟や救いの手が差し伸べられ、素晴らしいひとつのハッピーエンドまで突っ走る…という感じの、とても読んでいて1ページ1ページが楽しい本でした。

子供向けではあるのですが、それでも極悪幽霊の姿の描写などはとても筆舌に尽くせぬといいますか。なるほど、気持ち悪さを描くにはこんなやり方もあるのか…などと勝手に関心してしまったくらいでした。

ともかく面白いので是非機会があれば誰にでもオススメできそうな本です。

幽霊派遣会社というものをシリーズとして、続編を出してもらいたくなる物語でした。