あるひまじんの日記

今日も世はこともなし。

ついてくる

ついてくる―京都十三夜物語ついてくる―京都十三夜物語
(2001/03)
吉村 達也、平木 千草 他

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怖いです。ホラーです。

普段は外国小説ばっかりで日本の小説は手をつけてない私ですがこれはバリバリ日本の怪奇話です。しかも全編京都が舞台。

この本、表紙を見ただけでは分からないですが全ページオールカラーです。というのも写真やイラスト(?)がいくつか付されているからなのですが、作者や監督(?)さんが語っているようにただの挿絵やガイドブックの写真的な意味合い以上の効果を持った写真画像なんです。心霊写真とかでもなくて。

物語はある二人の若い夫婦が妻・晴美の父・市ノ瀬が死んだとある京都の隠れ家的な仕事家へ訪問するところから始まります。京都に入る間際の高速道路で突如現れた二つの白いおくるみを轢いてしまった夫・永瀬。あまりの不可思議さに忘れてしまおうとする二人ですが、市ノ瀬の家に到着した時から二人の周囲にはおぞましい夢と現実が襲い掛かります。

「1夢」を二人が見ているという設定で夢の内容がショートストーリー的にひとつずつ語られていきます。それぞれはまったく怖くもなく、どちらかといえば世にも奇妙な物語に出てもいいようなちょっとコメディ的な話もあったりしてこの短編集だけでは怖いとは言えません。またそれを見ている主人公夫婦二人も当初は怖さよりも夢の真意を模索したりと一見サスペンスにも見える展開。

ところがところが、中盤からだんだん現実に夢が干渉してくるようになり、ついにはこの謎の事件の発端とされるあの二つのおくるみの正体であろう双子の死装束老婆が二人に迫ってきます。そして意外な場所にいた全ての黒幕と原因。日本のホラー話で良くある「執念」とか「妄念」がその根底にありながらも、SF的、科学的、文献的、たまに笑い話…と色々と混ざった幕の内ホラー。

そしてあらゆる場所に出てくる写真やイラスト、そして印象的にところどころ巨大化されている文字がより怖さに拍車をかけます。血痕のように点々とついている血は生々しく、また話の中で登場する金閣寺や花畑などはまさに本物を据えています。

白い紙に黒い文字でつらつらと書かれているだけのつまらない本の形式を改革した一冊とも思えました。しーかし、怖さが持続する本です。